2011年11月22日

国王の威厳

以下の文章は平成23年12日1日発行の寺便り「自在力」に所載される巻頭言です。発行日より少し早いけれど公開します。

 「国王の威厳」
 11月にブータンの国王ご夫妻が来日された。新聞やテレビは連日ご夫妻の動向を報じていた。皆さんもきっとその様子を見たであろう。さてそこで問い掛けたい。テレビなどのメディアはなぜこの国王ご夫妻をしきりに取り上げたのか。次の中から考えてほしい。
 1、ブータンという国は「国民総幸福量」(Gross National Happiness) を掲げるユニークな国だから。
 1、被災地への訪問をされたから。
 1、お二人が美男美女であるから。
 さあどうであろうか。皆さんはどこに関心を持ったのか。結論として、圧倒的な割合で3番目であるようにテレビ画面やコメントを聞いて感じた。さわやかなお二人であるから衆目を集めて不思議ではない。でもそれのみの関心でこの国王ご夫妻のご真意やブータンのお国柄を見極めることができるのか。私の問い掛けはそこにある。

 ブータンはとても小さな国である。国土は九州ほどで、人口は70万。観音寺の在る港北区が33万人であることを思えば、その小規模さがわかる。インドと中国の間に挟まれた格好で、地政学的には困難な面も多い。仏教を国教とし、その教えはチベットの仏教である。ブータンは古くからチベット文化圏に属していたが、17世紀頃から独立の機運あり、20世紀初頭に現在の世襲制王国になった。かつては絶対君主制であったが、今は立憲君主制の国である。

 この国は仏教国であることを誇りにしている。その誇り高き国民性は、わが日本国にも同様のまなざしを向けている。つまりブータンは日本国を同じ仏教国と見ているのである。このことはダライ・ラマ法王が日本に来ては、「日本はチベットよりも早い時期に仏教が伝来した。だから日本は先輩の国です、そこで話をするのは恥ずかしいが」と謙遜されるのも同じこと。アジアの国々は日本を仏教国と認めている。それなのにわが日本国民はそうした矜持をどこかに置き忘れてしまった。私は無宗教ですと胸を張って主張する知識人などを見聞きすると、大きな虚脱感に襲われる。

 国王は国会演説をされた。そこで語られたのは日本への敬意と信頼と希望であり、国王の誠実さが如実に表れた慈愛にあふれる名演説であった。これほどまでにわが国を好意的に讃えてくれる国はそう多くない。日頃戦場と化した如くの国会を静寂な浄土のように思わしめた。ここに演説全文を紹介できないのが残念である。この演説全体を貫いている敬意と信頼と希望は、すべて仏教が説く大いなる慈悲心から起こるものである。

 国王ご夫妻は被災地にも赴かれ、祈りを捧げられている。東日本大震災翌日には国を挙げての法要を始められた。しかしこうした深い祈りは今回の大震災に限らない。平成7年の阪神淡路大震災の時にも、ブータンは他国に先駆けて日本政府にお見舞いを寄せている。その書簡には「わがブータンは経済的にも人的にも支援できるものは何にもない。しかし心の底からお祈りをすることができます」という趣旨のことが書かれていた。この正式文書のことを報じたメディアは極めて少ない。皆さんはそんなことが16年前にあったことをご存じであろうか。16年前と今回とブータンが取った行動は同じなのである。国王は言う「ブータンに暮らす者は常に日本国民を親愛なる兄弟姉妹であると考えています」「言葉に言い表せない非常に深い精神的な絆によってブータンは常に日本の友人であり続けます」と。私はあらためて「友好国」という意味を問い直す。友とする国とは何だと。

 真理をより所とする国王のいる国は幸せな国である。それに気付いている国民もまた幸せである。同じようにわが国は人皇125代の陛下をいただく国である。陛下もまた常に世の平安のためにお働きである。実にブータンと似ている。されど異なるのはこの幸せや誇りに気付く日本国民があまりに少ないことである。振り返ること1300年前、かの聖武天皇が奈良の地に大仏建立という大願を発せられたこと。あのご聖断によってその後この国に培われた智恵と慈悲は計り知れない。わが国民はそれを忘れかけてはいまいか。

 友なる国の王が示した威厳ある道標にわが道を重ねたいと願う晩秋となった。

ブータン国王の国会演説はこちらから


posted by kannon at 13:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

講堂進捗状況C 上棟式


 去る平成23年(2011年)11月11日午前11時より講堂の上棟式を行いました。上棟式は神式だけのものと思われる人もありましょうが、そんなことありません。ちゃんと仏式あります。しかもその丁重さは歴史を感じさせますね。これは地鎮祭でも同じことです。

 ということでこの日に納められた棟札はこちらです。ヒノキの一枚板にこの講堂を建てる意味や願いを墨書してあります。裏面には今回の工事に携わる全ての会社名が記されています。関係者一同でこの棟札を引き上げました。
 棟札.JPG
 
 

 上棟式に引き続いて「餅撒きの儀」です。この慶事に紅白餅や宝船などのお餅、福銭を用意し、舞台上から「おめでとう」の掛け声と共に勢いよく撒かれました。近隣のお檀家さんなどを中心に大勢お越しになり、歓声上げながらお受けになりました。
 餅撒き1.JPG
 餅撒き2.JPG

 この日は暦の上ではとてもよい日でした。但し、冷たい雨が降りました。餅撒きは講堂の中で行いましたが、講堂は天井高があるので何の不足もありません。これからも工事安全にて進んでいきますことを。

 
posted by kannon at 13:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 行事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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